一歩は後ろから回した手を私の手にそっと重ねた


目の前にある、一歩の優しい瞳。彼の目は遠くの花火を見ず、私をじっと見つめている


トクンと心臓が波打つ


大きく響く花火の音よりも、自分の鼓動の方が大きい気がした


一歩はフッと笑うと、私の頭の後ろに軽く手を添えて、ゆっくり唇を近づける


唇が触れ合いそうな…息がかかりそうな、そんな距離


「ラスト花火見れないのと、今キスできないの…どっちがヤダ?」


「えぇっ!一歩何言ってんの?そんなの…」