あ。笠谷くんの事で動揺してて、あのまま一歩に返事するの忘れてた


「ごめん~、怒ってないよ。カフェ、行きたい」


「そ?ならいーケド。ハイ」


そう言って、一歩は左手を私に差し出す


この瞬間が好き


一歩は、機嫌が悪い時もいい時も…一緒に歩く時は必ずすぐ手をつなぎたがるんだ


こうやって手を出してくれると、私も手をつなぎやすい


「うわ、相変わらず手冷て~な。夏は気持ちーけど、冬はつなぎたくない」


一歩が冗談ぽく笑う


「ひど…、じゃあ冬はつながな~い」