第三章 初めてのコンパ


 コンパの会場は行きつけのジャズ喫茶になった。

 顧問の教授も駆けつけ感慨に耽り言うのである。

「私も子供の頃まんがをよく読んだもんだよ・・・」

 コンパの席は皆が酔いがまわって来て騒々しくなってきた。

そしてエロまんが派の伊藤が当てつけがましく叫んだ。

「少女まんがなんて処女まんがじゃねえか!」

 すると少女まんが派の姉御格の広田女史が

「あんたたちエロまんがなんて社会から白眼視されてるじゃあない」

 それを嘲笑うように芸術派の田村が

「商業主義が仲間割れかよう」

と囃し立てる。

 店の中は殺気立ってきてガヤガヤし始めた。

「テメーのこと気に入らなかったんだよう!」

「よっしゃあ!外出ろよ。タイマンでナシつけようか・・・」

一触即発の雰囲気だったがマスターと教授が間に入り事なきをえたが

皆は白けてお開きとなった。

 それぞれ同じ方面の帰りの集まりで帰途に就いたが、私と渡部裕美は同じ方であった。

「あたし、まん研やめようかと思って・・・・」

「きょうのコンパがひどかったから?」

「まんがそのものを・・・・」

「何でだよ?」

「少女まんがに嫌気が差すのに少女まんが位しか描けないから」

「そうかあ・・・・」

 お互いに、言わんとすることが解り何となく気まずい雰囲気になった。

 彼女のアパートの前で私は言った。

「少女まんが・・・卒業しないか?」

「先輩!?」

 私は彼女のアパートに泊まり一夜を共にしたのだった。