まんが研究会は意外に順調に軌道に乗っていった。毎月作る月報も特に難なく進み会員

どうしもうまく交流しあっているようだった。

 そして、夏のイヴェント、コミケットに向かい最初の会誌を作ることになった。

 そのための編集を中山の家で行うことになったのだが、実に大変な事に気付いた。

 それはあまりに傾向の違う作品が集まった為である。

 苦肉の策として私が言い訳がましい巻頭の辞を書くことになった。

 私が四苦八苦している間に中山を中心として編集やレイアウトが決まっていく模様だ。

 その中で純情少女まんがを描いている渡部裕美の姿が目に止まった。

 彼女はオフホワイトのワンピースを着ていて清楚な佇まいで原稿を整理していた。

 何故か私は彼女に視線が向いてしまう・・・

 それに気付いたのか裕美はこちらへちょっと目を向けたが、それは一瞬のことで後は再

び編集作業へと戻ったのだ。

 そんな雑念を振り払ってとにかく文章を捻り出しともかく他のメンバーもOKをとりそ

の日一日で編集作業を終え、男子は飲み会女子は帰って行ったのであった。

 八月のコミケットで初の会誌は思ったより売れて良い気分を味わった。

 様々な傾向のまんがが集まっていたのがかえって良かったのかもしれない。

 中山が行動力を発揮し顧問の教授を見つけ大学公認のサークルに昇格できそうである。

 その教授を交えてコンパが開かれた。

 今まで女子も参加して飲むことが不思議と無かった。