きっかけは先生のこの一言だった。


「なんだ、カンノか。じゃあよろしくな。」


丹波先生の代わりにHRを締めくくった羽賀先生。彼は学級委員である私に仕事を頼んできた。


それは別に構わない。
構わないが…



「ちょっとーっ、今の聞いた?!カンノだって、カンノ!!」

「なんか恋人みたいだった!!」


クラスが変な盛り上がりを見せたのである。


そう、いつの間にか呼び捨てになっていた。相原と呼ばれたことは一度もない。


でも正当な理由がある。
隣のクラスに相原奈々子ちゃんがいるからだ。相原という名字の女子が二人居れば、二人共相原と呼ぶのは不適当。



なのにこの有り様はなんだ。