ルシルの真剣な瞳に、俺は観念してカルレイン様に取り次いだ。
もしものときには、俺が体をはって、ルシルを守ろう。
今までカルレイン様第一で育ってきた俺からすれば、ものすごい決意だ。
カルレイン様は渋っていたけど、なんとかルシルの話を聞いてもらえることになった。
が、
「カルレイン様の大馬鹿~!!!」
って。
うわっ!!
ちょっとルシルってば。それはまずいって!
けど、俺の心配をよそに、カルレイン様は、ルシルの言葉に心を動かされたようで、
何のお咎めもなかった。
俺は、必死にルシルをなだめると、カルレイン様にお詫びを言ってさがってきた。
ああ、心臓が止まるかと思った。
ルシルを見れば、涙と鼻水で、まったくとんでもない汚さだ。
俺はくすりと笑って、この勇敢な女戦士に、手ぬぐいを差し出した。


