そっか、ルシルもそれで俺のところに来たのか。
俺は、ルシルの言いたいことがすぐにわかった。
昼間、カルレイン様が弟であるアルシオン様と喧嘩をなさって、
それがどうやらリリティス様に関係しているんだと、俺も気付いたから。
「ルシル。カルレイン様は、今ひどく機嫌が悪いんだ。
下手なことをすれば」
「このままでは、リリティス様が倒れてしまうわ!
私は、リリティス様の侍女なのよ!
お願い、マーズレン!!」
いつの間に、そんな侍女魂が植え付けられたのだろう。
ルシルは本気でリリティス様のために、カルレイン様に会う気のようだ。
長年お仕えして、兄のように慕っているこの俺でさえ、声をかけるのをためらうほどの機嫌の悪さだと言うのに。


