実は、旅の途中、俺たちは何者かに襲撃されて、あやうく殺されるところだった。
内密にするようにと命令されれたので、誰にも話さないけど、
王子付きの俺が、しっかり警護してカルレイン様のお命を守らなければ。
決意を新たに、母である彼女の顔を見ようと上を向いたが、
母は、リリティス様に挨拶をしていて、すでに俺のことなど眼中になさそうだ。
リリティス様の後ろからルシルが出てきたのを見て、俺はハッとした。
カルレイン様が、王女の世話を母に頼んだということは、
必然的に、ルシルは、母の下につかなければならないわけで・・。
母は、カルレイン様の乳母ということもあり、非常に信頼されていたが、
侍女としては、相当に厳しく、母のしごきに耐えられず、城を去った侍女もいるくらいだ。
・・ルシル~!頑張れよ~!
俺は、心の中で、ルシルに声援をおくった。
こればかりは、俺も手伝うわけにはいかないもんな。
けどなんとなく、ルシルなら大丈夫じゃないかって気がした。