“まだ”誰も居ないって……。 だから、これからはーちゃんが図書室に行くんだってばぁああ! 《早くおいで?でないとあのこと喋っちゃうよ?》 「だからこれか……」 ツーツーツーッ。 虚しく響く機械音。 ムキキキキッ! あのバカ王子、人の話全然聞いちゃいないんだから。 それに、なんて自分勝手なの? うわああああん。 あたしは観念して、ケータイを鞄に突っ込んで全速力で走り抜けた。 図書室は新館にある。 はーちゃんが行った方向とは反対側の階段を降りて、とにかくあたしは足を走らせた。