「ビックリした?」


王子は周りにはバレないようにあたしの耳元でそっと囁いたんだ。

トクン……トクン……。

甘い香りがして、あたしの心臓はまたトクン……と反応してしまった。



あああああ、もおぉ!

ビックリした?じゃないわよ!

みんなが居るこの廊下でなに考えてるのよおおお……!

あたしの心臓、いくつあっても足りないよ。



「いやぁーん王子じゃん!」


女の子のその一声に、近くに居た女の子たちが王子の周りを取り囲む。

王子は背を向けて歩きだした。

と思ったら、あたしの方を振り返り意地悪な笑みを浮かべた。



な……なによあの顔……。

王子様だからって、バカじゃないの?

ムカムカする……。

タイミングよく先生が来たから、あたしやはーちゃんたちは教室へ入った。