ここで悟られてはいけない。
『………何ですか』
とても冷たく、鋭い氷のような、冷めた声だった。
「なんでお前は逃げようとしないんだ?」
他の奴等と違って。兵士はそう続けた。
たった今、逃げようとしているんですがね。
そんな事、言えるわけがない。
ルージュは顔を上げて、兵士を嘲笑うかのように言った。
『別に牢屋の中…と言うのも、悪くはないですよ。働かなくてもいいし、ご飯だって出してくれますからね』
少女は、ルージュは目を細めた。
兵士は肩を竦めた。
「オレは断然暇だな。牢屋なんて。場所は限られているし、飯だって、旨かねぇだろ」
話せば話すほど喋る兵士だ。世間話は嫌いではない。どちらかと言えば、好きだ。
『そうですか…でも、いいんですか?此処の悪口を言って。不味い飯、食べさせられるかもしれませんよ』
「そんなのゴメンだな。……お。もう交代の時間か」
『そうですか…』
始まる。計画が。
今更やめるわけにはいかないのだ。
『足、気を付けて下さいよ。階段、滑りやすいとの噂を聞いたことがありますから』
『………何ですか』
とても冷たく、鋭い氷のような、冷めた声だった。
「なんでお前は逃げようとしないんだ?」
他の奴等と違って。兵士はそう続けた。
たった今、逃げようとしているんですがね。
そんな事、言えるわけがない。
ルージュは顔を上げて、兵士を嘲笑うかのように言った。
『別に牢屋の中…と言うのも、悪くはないですよ。働かなくてもいいし、ご飯だって出してくれますからね』
少女は、ルージュは目を細めた。
兵士は肩を竦めた。
「オレは断然暇だな。牢屋なんて。場所は限られているし、飯だって、旨かねぇだろ」
話せば話すほど喋る兵士だ。世間話は嫌いではない。どちらかと言えば、好きだ。
『そうですか…でも、いいんですか?此処の悪口を言って。不味い飯、食べさせられるかもしれませんよ』
「そんなのゴメンだな。……お。もう交代の時間か」
『そうですか…』
始まる。計画が。
今更やめるわけにはいかないのだ。
『足、気を付けて下さいよ。階段、滑りやすいとの噂を聞いたことがありますから』