「おはよう!

俺が1組の担任、鈴木隆だ。

担当は社会、主に歴史。

これから一年、ヨロシク!」


頭の少し禿げかかった、年配の男の先生だ。

歳の割りに声に張りがあって力強いなって思った。

実は頭が少し薄いだけで、そんなに年ではないのかもしれない。


「お前達と同じ年頃の子供が二人いる。

今時は若い先生の方が人気があるがぁ、気持ちはまだまだ若いつもりだぁ、何でも相談のるぞぉ、今時の若者事情にも詳しいぞぉ」

ということは、30台後半から40台くらいってことかな。

やっぱり見た目より若いかも。


「出席をとる!」

「あおきみどり(ハイ)、かわもとゆかり(ハイ)、さとうゆり(ハイ)……たなかゆめこ(ハイ)……かむらけい(ハイ)、ふじばやししょう?」

「先生、『かける』です」

「おう」

「いとうゆうた(ハイ)、うちだみのる(ハイ)、おおやまひかる(ハイ)……」

「ももちしのぶ」

「ハイ」


あたし声の主に目をやった。

でも席が前の方で後姿しか見えない。


「ほぉ~ このクラスには忍者の末裔が二人もいるのか?」

「先生? 忍者って、服部半蔵とかじゃないんですかぁ?」


いかにもお調子者って感じの男子が横槍を入れた。


「まぁ、服部は有名だがな、藤林と百地も立派な伊賀忍者の家系だ!

百地もそのくらいは知ってるだろう?」

「今時、忍者なんて、いる訳ないっしょっ!」


その声の主は百地?。

先生の方を向く、百地の横顔がチラッと見えた。


えっ、何?

もしかして、あたしの王子様?