「ユタ、あたし帰る」


思わず身震いして、そう呟いた。


「そんなに心配?」


ユタが不思議そうに聞いてくる。


「あたし、行かなきゃ」


あたしは気持ちが焦って、じっとしていられない。


「君達の関係って、なんか不思議だね」

「そう?」

「互いが互いの一部、みたいなさ。

僕も帰るよ、一緒に行こう。

紫苑先輩に言ってくる」


そう言うと、ユタはそのままきびすを返し、部室に戻っていった。

そして、すぐさま、あたしと自分の荷物を携えて戻ってきた。


「はい、夢子の鞄。

夢子、鞄を持ってたことも忘れてたでしょ?」


ご名答。

あたし、鞄のことなんかすっかり忘れてた。

この身一つで、直ぐにでも校庭へ下りていくつもりでいた。