「あたし……、今日はこれで失礼していいですか?」

もうこれ以上耐えられないって思った。

「えっ、夢子、もう帰るの?

あっ、やべ、僕も今日は塾の日だった。

紫苑先輩、じゃ、僕達今日はこの辺で引き上げます。

明日また来ますから……」

「おう、待ってる」


「失礼します」

って、あたし扉を閉めながら丁寧に頭を下げた。


「お前って、礼儀正しいのな」

「母親がそういうとこだけはうるさいの」

「ふぅん」

「ねぇ、高橋君、あなた毎日部活出るつもり?」

「あぁ~、ちゃんとユタって呼んでよ!

そう呼ばないと答えない!」


「……」


ちょっと、あんた、なに急に馴れ馴れしくなってんのさぁ?