三人とも、育った環境は違えども、忍の里に生まれたことに変わりはないんだ。



それが、あたし達三人を結び付けている絆なのだから。



「そうそう、もう一つ見せたいものがあるんだ」


翔はそう言うと、畑の脇に続く更なる小路へと足を進めて行った。

百地と二人、翔の背中を追っていく。


「ここ……」


翔が足を止めたその先には、光る野原が広がっていた。


「ここは『ひかるのはら』。

根来の神秘の源ってとこかな」


そこに広がる光景は、夜空の星を地面に映したようだった。

まるで蛍の放つ儚い光のように、薄っすらと僅かな光が草の間から覗いては消え、消えては光る。


「これはさ、土の中にいる、ミミズが光ってるんだ。

このミミズは様々な秘薬の材料にされるし、岩魚を採る生餌としても重宝されてる。

このミミズを餌として使えば、必ず岩魚がかかるって嘘みたいな話」


「綺麗……」


そんな余計な話を抜きにしても、それは只ただ、美しい光景だった。


「きっと、まだ、根来には、俺達の知らないそんな秘伝が沢山ある。

じっちゃん達は、ああ見えて、村人達からは尊敬された偉大な忍者なんだ」

「あぁ。わかってる」


百地が大きく頷いた。