「行こう、戻ろう」



あたしのきっぱりとした言葉に、翔も百地もちょっと驚いた様子。


「だって、追っかける訳にもいかないじゃない、またどうせ現れるよ」

「成る程、それもそうだ……」


百地が苦笑した。

流石の百地も、心波の姿を目の前にして、緊張していたんだと気が付いた。

それでも、長の忠告を破って、あたしに手を差し伸べてくれたんだ。


「ほら、行くぞ、二人とも、置いてくぞ、百地、スイカ持てよ」


マシンガンのごとく言葉を放ち歩き出した翔は、あたし達二人の様子をそれなりに気使ってくれているのだと思う。

何となくギクシャクとしたあたしと百地の関係に、翔はわざと気付かない振りをしてくれてるんだ。



そう、翔はいつだって、あたしの気持ちを大切にしてくれるから。