「ユタ、なんか顔、怖くない?」


「えっ、そんなことありませんよ。

みんなが参加してくれるからこの合宿が成立している訳で、僕、感謝してます。

でも……」


「でも?」


「なんか、僕の影が益々薄くなるようで、なんか寂しいんです」

「大丈夫、より影の薄いあたしがここに居るじゃない」

「夢子の詩、小太郎先生に褒められてたじゃないですか。僕は文章力がないって……」


あんた、緊張してた割には、ちゃんと聞いていたんだね。


「物語は発想が命でしょ?

先生がおっしゃるように、文章力は後から付いてくるものだよ。

磨けば光るってことだよ」

「夢子……、ありがと。そうですね、なんか気持ちが前向きになれた気がします。

明日から一週間、紫苑先輩ともずっと一緒にいられる訳ですし。

藤林さんや百地君の弱点も見つけられるかもしれないし……」


「ユタ、それ余計」

「冗談ですよ」


ユタの目がいつものように悪戯にクルクルと動きだした。

ユタが元気になって嬉しいけど、あんまり深入りされるとやりにくい。