美華のくせに…。

 フッと鼻で笑った。

 何か考えてんのアホらしくなってきた。

 乃亜のためにも…このほうが良かったんだよな。


「何でもねぇよ。ほら降りるぞ」

「あ…うん!」


 最寄り駅に着いて2人で降りる。

 卵入ってるっぽいから気ぃ付けねぇとな…。

 つか、これ持って1人で帰れんのか?


「お前、持って帰れんの?」

「あ、大丈夫!
 お兄ちゃんが駅前で待ってるらしいから…」

「そうか、んじゃな」


 袋を渡して別れる。

 方向ちげぇし。

 もし美華の兄貴がケイさんみたいな人だったら殺される…。


「あ、ありがとう!」


 右手を上げて、手を降った。

 窓から見た空は少しオレンジ色で…

 時間が流れているのだと、感じた。

 乃亜…もう泣き止んだか?

 女の涙は好きじゃない。

 あの日のことを…思い出すから。

 人生の教訓を得た、あの日を。

 愛なんて…偽りだと、知った日。