「何だよ、仲いいじゃん」

「まーな」


 隣のコートを見ると、美華のダチがいた。

 確か…間中 梢(マナカ コズエ)。

 ハキハキした性格で、女テニの部長だったはず。

 少し目を動かせば…やっぱり、いた。

 太陽の光で茶色っぽい髪の…美華が。

 こんなに離れてるのに、見つけてしまった。

 …いや、この感情は…違う。

 そのとき、1人でいる美華に近づく男がいた。

 他校の生徒か…。

 それをジト目で眺めた。

 誘ってんのか、美華の腕を掴む。

 困惑したように相手を見る目には…涙が溜まっていた。

 その顔…見ていいのは、俺だけだ。

 無言で通路を通り抜けて、美華がいる側に向かう。

 ちょうどそのとき、引っ張られてきたのか

 美華と、腕を掴んでいる男が出てきた。


「ぁの…!
 ほんとに、やめて下さい…っ!」

「いーからいーから。
 1人じゃ寂しいでしょー?
 俺が一緒に遊んであげる」


 よく見ればまあまあの顔。