「とーまっ!」

「うおっ!…ンだよ、」


 後ろから乗っかられたまま、顔だけ振り返る。

 でかい目に俺の呆れた顔が写った。


「準備サボらないのー!」

「うっせ、テメーの荷物だろ」

「ひど!彼女への対応ひっど!」


 はぁ…とため息を吐いた。

 随分こいつも変わったよな…。

 あんときはビクついてたのに…。


「ねぇ、何見てたの?
 て、あ…っ!」

「懐かしーよなぁ。
 あんときめっちゃ怯えてたろ?」

「う、うるさーい!
 あたしじゃないもん!」

「クク…ッ」


 あーおもしれ。

 こいつとまた付き合えたのは、アイツのおかげだよな…。


「拗ねんなって、」


 ぎゅ、と後ろから抱きしめる。

 白いうなじに顔を埋めた。

 香るシャンプーの花の匂い。

 この匂い、好きだな…あの頃と変わらず。


「ん…くすぐった、い」

「一緒に見よーぜ」

「もう…」


 ページを開けば、歓迎遠足の写真。

 県大会、夏休みを挟んで体育祭。


「このとき…大変だったな、」

「ん…あぁ」


 そういや…この1年だけ、鮮やかだったな…。