あー、何かイライラする…。

 とりあえず廉の尻を蹴っといた。


「って!何すんだよっ!」

「お前のほうがうるせーんだよ」


 そんな俺たちに、美華がクスクス笑う。

 作った感が残る、笑顔で。

 ま、笑顔なだけまだマシか。

 そして俺らは裏庭を去った。


「…今のって、まさか…」


 そんなセリフを、聞き逃していたとは知らずに。

 沸き上がる気持ちを抑えることに必死だった俺は

 “ソイツ”のせいで日常が崩れるとは、思っても見なかった。