イチ*コイ




「だから諦めないで、お姉ちゃんに幸せになってもいいんだよって教えてあげてほしい」


 真剣な乃亜の瞳。

 俺を見上げてきた美華と同じだった。

 けど何も思わないんだ…お前じゃないから。


「…お前は、美華のこと嫌いなんじゃないのかよ」

「嫌いだよ…大っ嫌い。
 何言ったって何したって笑って許してくれるんだもん。
 そんなお姉ちゃん大っ嫌い…………けど、大好き」


 ああ…美華はきっとわかっていたんだ。

 乃亜のこの天の邪鬼な気持ちに。

 だからアイツは乃亜の言うことを聞いてきたんだ。

 裏では後悔していることを知っていたから…。


「…あたしが、双子なのにお姉ちゃんをお姉ちゃんって呼んでるのは」

「……」

「お姉ちゃんが、何をしても笑って許してくれるからで…。
 みんな、お姉ちゃんをあたしのお姉ちゃんって認めてくれないけど、あたしは誰よりも認めてるからで…っ」


 泣くのを我慢している姿が、美華と被った。

 ケイさん、乃亜は…ケイさんが思ってるより性格ブスじゃねぇよ。

 そりゃあ美華に比べたら悪いかもしんねぇけどさ。