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 それから注意深く美華を観察していた。

 やっぱりどこも変わった様子はない。

 …つか、美華に何かあったらケイさんが黙ってねーだろうし。

 ただ、下駄箱には確かに何かが入ってる。

 紙っぽいから…悪口とか?

 呼び出されてる感じもしねぇから、大丈夫だとは思うが。

 勝手なことされて黙ってるほど、行儀よくねぇんだよ。

 そんなことを思っていた日だった。


「ごめん斗真、今日用事あるから…先帰っててくれる?」

「…用事って?」

「えっと…進路の事で、先生と話があって。
 ごめんね?」

「わかった、じゃあな」


 頭を撫でて教室を出る。

 とうとう呼び出し…か?

 勘違いならいいんだけどな。


「斗真!絶対呼び出しだって!!
 どうすんだよ!?」

「落ち着けって…」

「落ち着けるわけないだろ!?」


 廉を宥めながら隠れる。

 しばらくして美華が教室から出てきた。

 足音を消してそのあとを追う。


「斗真…?」

「俺が1人で行かせるわけねぇだろ」

「…だよなっ」