イチ*コイ




 何でお前ばっかり、つらい目に遭うんだよ…。

 美華…美華、お前さぁ…どんだけ損してきたんだよ。

 お前のことやっと理解できたよ。

 利用されたから壁作ってたんだな?

 信じたくても、信じれないから殻に閉じ籠ってたんだな?

 俺がいるから…もうお前を、離さないから。

 俺がお前を守るから。


「ま、だから俺はクソ親父もあの性格ブスも大っ嫌いなんだけどな。
 やっぱ人間中身だぜ」

「…そうっすね」


 人間、中身…。

 本質はどんなに着飾ったって変えらんねぇんだな…。


「じゃ、な」

「…はい」


 ケイさんが出ていって少しして、美華が入ってきた。


「…コーヒーでいいかな?
 確かブラックだったよね?」


 トレーをテーブルに置いた瞬間、抱き寄せた。

 同情なんかじゃない…ただ純粋に、抱きしめたかった。


「え…と、斗真くん…!?」

「好きだ…好きだ」

「――ッ」


 骨が折れるくらい、抱きしめた。

 ちっさくて、細っこい身体。

 細すぎるわけじゃなくて気持ちいい。