間抜け顔を披露する美華と見つめ合う。

 気まずそうに目を逸らす美華。

 廉…ばっか野郎!

 この前、もう1ヶ月経ったけど、無理ちゅーしたっつったただろ…!

 やっぱあいつに頼むんじゃなかった…。


「…どうして、ここに?」

「…浜崎さんが、受付は絡まれて危ないから買い出し係りにしなって……」


――浜崎 果恵(ハマサキ カエ)

 強引な性格のクラスメイト。

 その実態は、廉の幼馴染みだ。

 廉の奴、自分じゃ怪しまれるからって浜崎に頼んだな。

 まあ浜崎は廉のこと好きだから断れなかったんだろ。

 案外あいつ可愛いとこあるし。


「…もう1人って、浜崎さんじゃないの?」

「…俺だよ」

「そ、っか…」


 床を見たまま呟く。

 俺はお前のこと見てんのに。

 ――お前は俺のこと、見ないんだな。

 素手で掴まれたように痛む胸。

 ずきずきずきずき…いてぇなぁ。

 やっぱり俺は、美華と居ちゃいけねぇのかな。

 …ンなの、知ったこっちゃねぇけど。

 用意されていた椅子に座る。