気がつくと朝になりソファに凭れたまま
うつらうつらとしか眠れなかった。


出て行く時は一声かけてと
言ってたけど…。
私には…最後に手を振る勇気がない…。


だからこのまま
黙って屋敷を出よう…。


私は着替えるとスーツケースを手にとり
そっと部屋を出て
静かに一階のホールへと下りた。


行き先は何とかなるかな。
携帯も充電ちゃんとあるし。


前の様な失敗はしない。


ホールから外へ繋がる
大きな玄関扉の前へ立つと振り返り
ホール内を見回した。


私がお世話になった場所。
感謝の気持ちを込めて一礼してから
玄関扉を開き外へと出た。