「助けてーー、バード」

ローズが真っ黒な暗闇に吸い込まれていく。

バードは手を伸ばすが、届かない。

「ローズーー」

バードは自分の声で目を覚ましてしまった。

周りに寝ていたスワローたちが起き出す。

「すまない、また夢だ。寝てくれ」

バードは身体じゅうにじっとりかいた汗を拭った。

これで何度めだ!それに夢に翻弄されている自分が不甲斐ない。

バードは、そっと起き上がって離れたところにしゃがみこんだ。
バードたちの目の前の縦穴には白い糸が垂れ下がっていた。

「これを下ると黄泉の国にたどり着くんだな?」

バードが横のキイスに聞く。

「そうですよ、魔法の力が働いていて疲れません」

二人の後ろから声がした。

「そうなんだ、どうりで疲れないと思った」

「!!!ローズ、なんでそこにいるんだ?」

バードはローズの身体をガバッと抱きしめる。

「う、苦しい、離して、…ぜんぶ話すと長いけど死神王に帰してもらったの。ところでお腹すいたんだけど…」

「また、お前はお腹すいたか?俺たちがどれだけ心配したと思っているんだ。かってにいなくなって…」

ローズが話す間、身体を離したバードはローズの頭をポカリと叩く。

「痛い!」

「まあまあ、バードさん、ローズさんたちもかってにいなくなったわけじゃないし、とにかく、無事だったんだし、疲れているはずだから、夕ご飯にしましょう」

スワローが間に入ってその場は丸くおさまった。