「私は目立つので空を周回して待ってますね」

スワローは翼をはためかせながら言ってあっという間に空高く上っていった。

久しぶりだな。

バードは高い城門を見上げる。

アレン国は中くらいの規模の国で農業が盛んだ。アレン国のアレン酒と言ったら、タリー村のタリー酒と1、2を争う名産である。
王はレイといい、中年でまだ独身だ。闘技が好きで名剣をたくさん集めている。バードの顧客の一人だ。今回は城の宝物庫から見つかった折れた剣を鍛え直して持参した。

バードは馴染みの門の衛兵に声をかけて城門をくぐりぬけた。

城までのレンガ道は朝市の店が両脇に並んでいて人々でにぎわっていた。

そういえば、朝食がまだだったな。

バードは店をのぞきながら歩きだした。

「リルスの玉を下げたお兄さん、美味しいアレン酒があるよ」

バードを振り向くと中年の男とその子供がいて、男がアレン酒の入った革袋を掲げていた。

「さあ、一口どうぞ」

男が酒を進めてきたのでバードは受け取って一口あおった。

美味い。寝酒に買おう。

バードは男にココット銅貨を渡し、アレン酒を受け取り、背のうにしまった。