しかし早速、第二の関門が立ちふさがる。


「転校生の光です。私の名前はカナザ」


加奈子ちゃんは韓国からの帰国子女。


よって日本語がまだ上手くない。


自分のこと「転校生の光です」って言ってるけど、たぶん「転校生の光ちゃんだよね」と言いたかったんだよね。そうだよね。


自分の名前すらちゃんと言えてないけど、決してアホな子じゃないんだよ。訛ってるだけなんだからね。


なんとか加奈子ちゃん言語を解読し終えたところで、今度は虎ちゃんの自己紹介が始まった。


「俺は虎太郎。『とらたろう』じゃなくて『こたろう』な。まあでも、あだ名は『虎』だから虎ちゃんでもいいぜ」


パンダみたいに両目をたらして、ニッコリと微笑む虎ちゃん。


その隣で「怪我大丈夫?」と俺を心配する加奈子ちゃん。


記憶が消えても、全然変わっていない二人。