まるで昔からなにもなかったような、これが当たり前のような雰囲気。


これじゃあ本当に、


「存在が消えちまった……」


「誰よあなた、人様の家に勝手に上がり込んで! 出ていきなさい!」


「母さん、本当に憶えてないの? 光だよ! 正真正銘、母さんの息子だよ! ほら、この右手の傷、覚えてるだろ?」


母さんに詰め寄り、右手の傷を見せる。


昔つけた消えない古傷。だが母さんの顔から怒りは消えず、強烈な平手打ちを喰らわされた。


「私の息子は望だけよ! あなたなんか産んだ憶えはないわ!」


―産んだ憶えはない―


ある程度の覚悟はしていた。


もしからこうなるだろうと想像もしていた。


だが、想定と現実では言葉の重みが全く違う。