そこから記憶の鍵穴をこじ開けて、俺のことを思い出させてやる。 扉に吊されたクマのプレート。 このプレートが、俺の部屋の証。 「なによあなた! 警察呼ぶわよ!」 母さんの言葉を無視し、ドアノブをひねる。 「……え?」 そこにある光景に、絶句した。 ベット・机・本棚・テレビ。 そこにあるはずの物が、綺麗さっぱり消えており、空き部屋に変わっていたのだ。 どうして? だってここは俺の部屋。 昨日今日で片づけた? そんなわけない。 無機質なこの空間には、生活感など微塵も感じ取れない。