俺だって、兄貴がスカート穿いてたら吐くぜ、吐く。 なんとかして、俺が女になった説明をしなくては。 俺は必死で言葉を探していたが、 「どちら様?」 恐れていた事態が起こった。 「どちら様って、俺だよ。光(ひかる)だよ」 「望(のぞむ)のお友達ですか?」 「本当に記憶がねぇのかよ……」 母さんを押し退け、家へ入った。 後ろから悲鳴にも似た怒号が聞こえるが、記憶が戻れる可能性があるならなんだってしてやる。 階段を上り突き当たりにある俺の部屋。 記憶が消されても、俺の部屋はあるはずだ。