「こういう結果を見据えてたのかも知れないなってさ。だって都合が良すぎるよ。
契約破棄をしようか悩んでたらお兄ちゃんと喧嘩して、そしたら配送先の病院がここだなんて、まぐれにしては出来過ぎだよ」


あの女王様キャラの生意気娘が、そんな粋な計らいをするだろうか?


女心は、結局分からずじまいということですね。


「かもな、予知でもしてたんじゃないの?」


「じゃ、そろそろ契約を破棄しますか」


「まさかのスルーっすか?」


ホント、どこまでもマイペースな奴。


ポンッと軽快な音が響くと、病室の扉は出現していた。


弱っている姿を見られなくないんだろう。


帰ってという大翔の意図を読み取り、椅子から立ち上がる。


すると、大翔は俺を見上げて右手を前に突き出した。


小指だけが立ててある。指切りげんまんの格好。