目は赤く腫れていて、頬には涙が伝った跡がうっすらと残っていた。
大翔が俺の前で泣いていたのはこれが初めて。
これが、最後―――
「お兄ちゃんとの毎日は本当に楽しかった。病院にいる時は明日が来るたびに死が一歩一歩近付いてくる感覚だったから」
眉尻を下げて肩を竦める。
無理に笑ってるのがバレバレなんだよ。ばか。
「俺も、なんだかんだあったけど、すっげー楽しかった」
こんなこと言ったら「じゃあずっとお姉ちゃんでいて」とでも言われそうだから黙ってたけど、
「スリリングな日常も悪くなかったぜ」
偽りのない俺の本心。
「……なんとなく、魔女がお兄ちゃんを選んだ理由が分かった気がするよ。自分の運命に逆らって突き進む所を見込んだのかもしれないね」


