「されはさておき、大事な話しがあるから来て。お兄ちゃん」


俺が望んでいた解答などではなかった。


が、同時に走る背筋の悪寒。


大翔は俺を女にしてから一度も『お兄ちゃん』とは呼んでいない。


女になれてしまった違和感か、お兄ちゃんと呼ばれるのは懐かしくあり照れ臭くもあり。


これほどまで感じたことのないドス黒い恐怖が、俺の未来を明るく照らした。


大翔の顔からは、表情が消えていた。


結局翼がどうなったのか、いつ翼と人造人間を入れ換えたかのかなど核心に触れることはなく、黙って大翔の後について行く。


俺の病室は三階で、エレベーターを使い五階に向かう。


なぜかこの階だけは異様に静かで、廊下に入院患者や見舞い客などの姿はほとんどない。


重症患者が居る階だと直感した。


一言も発っさず大翔は歩み続ける。