状況から考えて、襲われている俺を助けるために、大翔が翼に抹消魔法をかけたのだろう。
発動条件はおそらくナイフ。
血液が付着してないから、対象者に突き刺すことで魔法が発動する仕組み。
助けてくれたことは感謝する。
感謝するけど、抹消するなんてやりすぎだ。
口元を病院服の袖で拭く。
大翔からには怒気が消え、いつもの無邪気な笑顔になっていた。
大好物を見つけた子のように、早足でベッドの横に腰掛けると、頭だけを俺に向けた。
「ゴメンねお姉ちゃん。翼君試作機が暴走しちゃって」
「大翔が謝る必要なんて……試作機?」
謝る必要なんてないと言おうとしたが、試作機という言葉に引っ掛かった。
「試作機って何?」


