「完全無視っすね……」


指パッチンで散らかった廊下を片付けると、リビングに行けと目で合図しやがった。


監視の件もあって、ここらで本格的に叱ろうと考えていたけど、『映画に出られる』という言葉が気になって、大翔に続きリビングに向かう。


大翔は意気揚々とスキップをしながらリビングのテーブルに置いてあったテレビのリモコンを取り、電源を入れた。


その間、俺の頭の中には疑問符が次から次へと生まれて最大積載量を突破した。


映画に出られるって何をほざいているんだか。


タレントオーディションに失敗した一般人の俺が映画に出るなんて。ありえねー。


まさかまた魔法を使って? いや、あれほど魔法は使うなと注意したから使わないと……。


て、さっき使ってたわ。俺の威厳まったく無しかよ。


己の無力さに(というより大翔のフリーダムさに)肩を竦めていると、満面の笑みで大翔がこちらに振り返った。


太陽の如く、希望に満ちた輝く笑顔。