微笑する虎ちゃんにすかさずツッコむ。
いや、ツッコミとか置いといて。
ついこの間の出来事で大変気まずいはずなのに、なんで俺に話しかけてるんだよこの人は。
「なんかようっすか?」
「特にないけどさ、二日も休んでたから、もしかしてと……な」
言葉を濁して、後頭部を掻く虎ちゃん。
そうか。虎ちゃんはこの前の出来事が原因で、俺が学校を休んだと思っているんだ。
記憶はないけど、本能でなにかあったのか感じ取っているに違いない。
オーディションのことを言おと口を開きかけて、ふと思い止まった。
ここでタレントのオーディションに行って来たと答えたら、自意識過剰な女だと思われないだろうか。
思うな。俺だったら思うもん。
弟が勝手に応募したって正直に話しても、応募用紙には本人直執のサインと印鑑証明、さらには顔写真と全身写真などもろもろ必要なんだ。