少なくとも、この教室には確かに……。


柄にもなく教訓じみた思想を考えていたから、偏頭痛が起きそうだ。


おかげで眠気は逃げて行ったけど。


瞬きの回数につれて、瞳と人影の間に漂っていた霧が晴れていく。


視界がはっきりしてくると同時に、俺の額に冷や汗が伝った。


早鐘を打つ心臓。激流する血液。


血の気が引いたはずなのに、カアーと顔に熱が帯びて視線を外した。


だって、だってだってだって。何事もなかったかのように話しかけてくるとは想定外のことだったから。


動揺と困惑が、俺の呂律を奪い去る。


「とととととと、虎ちゃん!」


「お前は鳥かよ」


「そうです私は鳥……て、俺、鳥じゃねえし!」