「イタッ!」


もちろん犯人は大翔。


「お姉ちゃんは自慢のお姉ちゃんだもん。日本中の皆に僕のお姉ちゃんを見てもらうの!」


歪んだ笑顔を見せ、身を翻して言い放つ。


「オーディション受けるよね?」


強気な態度で人の意見なんか聞かない大翔が、初めて俺に同意を求めた。


小さな背中がより小さくなって、俺の心に不安の鈍りがのしかかる。


俺は首を縦に振るしか他なかった。


踏まれた指先が、妙に痛んだ。