つい助けを求めてしまったが、今回のことは虎ちゃんに関係のないことだし、俺にとって虎ちゃんは親友だけど、虎ちゃんにとって俺は「転校してきたただの同級生」というポジション。


現実が甦る。


虎ちゃんが庇ってくれことは嬉しいけど、虎ちゃんからしたら俺は同級生でしかないわけで。


なのになぜ庇ってくれた? 俺なんか放っておけばいいのに、なぜ自ら面倒に足を突っ込んだ?


お人よしにも程がある。


虎ちゃんは優しいけど実は腹黒で、自分にも第三者にも火の粉が降り懸からないよう念密に計画を企ててから行動を起こし、ターゲットのみをピンポイントで攻め落とす。


だから感情をあらわにして猪突猛進するなんてありえないことなのだ。


ましてや怒鳴って相手の怒りを煽るなど、決して。


自分のことで一杯一杯だったから、この違和感に気付いていなかった。


曖昧コンビは単純に邪魔をされたから言い返しただけだけど、俺は虎ちゃんの行動に改めて疑問を感じていた。