「ほなさいならー!」


全速力で逃げ出した。


逃げ足だけなら自信がある。


クルクル縦ロールのいかにもお嬢様なあいつらじゃ、俺には絶対追い付けない。


追いつけるはずが……。


「「待てって言ってんでしょうがぁあああ!」」


追い付いてます。背後にピッタリと!


「なんでそんなに速いんだよぉおおお!」


「「乙女の底力を舐めるな!」」


乙女が髪を逆立てて、鬼の形相をするはずがない。


しかもマラソン選手顔負けの美しいフォームで駆け抜けるなんて言語道断だ。


ヤバイ。このままでは『魔力15』で物語が打ち切りになってしまう。