やっとこさ気付きました。


「ありがとうございます。お陰で助かりました」


ビショビショのブレザーを絞る溺れていた主。


その主を助けるために飛込んだ俺も全身ズブ濡れで、震える体を抱き締めた。


五月とはいえ、まだまだ冷たい川の水。ヘタすりゃ風邪だって引きかねない。


「寒いですね、アハハ」


「アハハじゃねーよ! バカ山田!」


「ご、ごめんなさい……」


溺れていた主こと学級委員の山田君は、シュンッとうつ向いた。


なんで山田君が川で溺れているんだよ。


ガチガチと歯を鳴らしながら問いつめると、山田君は盛大なクシャミをかまし、鼻をすすった。


「いやーまいりましたよ。この辺りを歩いていたら、川の中からいきなり女神さまが現れて―――」