なにかと慌ただしい一日だったけど、こうして加奈子ちゃんと長い間二人っきりでいれたから良しとするか。


バニラアイスを食しながら、会話が弾んでいる二人をちらりと盗み見。


本当は大翔が物凄く邪魔者だけど、助けてもらったから今日は多めに見て……ん?


視界の隅に映った人物。


ちょうどレジで会計を済ませ、店から出ていく少女の姿。


黒のワンピースにあの後姿は……。


「わりっ、ちょっとお手洗い」


席を立って、二人に気づかれないよう店から出る。


すると俺を待ち構えていたのか、少女は店の入り口で仁王立ちしており、俺の姿を確認するなり、口の両端を器用に上げた。


間違いない。あの時、朝目覚めたとき大翔と会話をしていた、あの少女だ。


大翔が『魔女』と呼んだ少女。この子と大翔には、なにか大きな繋がりがあるはず。


大翔のことが、分かる。