「加奈子ちゃん!」


少し離れた場所から声をかける。


加奈子ちゃんは辺りを見回して声の主を探し、俺の姿を発見したようで可愛らしくトコトコと駆け寄ってきた。


「こんにちは(さようなら)光。今日は目言っていて楽しもう!」


セリフに『()』がついているけど気にしたら負けだと思うんだ。うん。


なんか心の声で「さようなら」っていうのが聞こえたような気がするけど聞こえない。うん。きっと空耳。


「はは……楽しもうね」


果たして俺は、言語という壁を乗り越えることができるのか?


ドキドキハラハラなデートが、今始まる。


「とりあえずどこ行こうか? 加奈子ちゃんのお勧めの所ってどこ?」


「実は隠遁指摘な店があって! 可愛いの(だけ)だけでそれに安い。案内してくれるね」


案内するのはあなたです。