ずっと、 鳥かごの中にいた。 外へと飛びだった鳥は 自由を手に入れた。 * 「お父様、なぜ止めないのですか」 急き立てる母。 「椎名」 父は母のことは気に求めず言った。 「はい」 椎名は一礼する。 「ユリ子を追え。決して見失うな」 「はっ」 次はさらに五度、深くお辞儀した。