恭平は、女の人が働くのってあんまり好きじゃない、女は家の仕事があるんだからそっちを優先するべきだ、って主張したことがある。

あたしも今となっては、そこまで就職にこだわってないし。

「あんた達二人で何が出来るんだい。母さんだって赤ん坊の世話くらいできるよ。樹理をここまで育てたのは、母さんなんだからね」

母さんがゴホンと咳払いをしながら言ってくれた。

「ありがとうございます」

「なに、礼なんて言ってるのさ、こうなりゃさっさと赤ん坊産んで、立派な子に育てるしかないだろ。ほら、もうこの話しはいいだろ、餅が冷めて固まっちまうよ」

そして、冬休みが終わり、あたしは全日制から定時制への変更願を出した。

母さんの巧みな話術を聞き、学校側はそれを受け入れた。