虹色サイダー

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結局、あの後は本当にすることがなくて。


まさか朝虎をどこかに連れ出すことも出来なくて。



父の書斎から日本映画のDVDを持ってきて二人で見ていた。


残念ながら歴史ものではなく、昭和初期ぐらいが舞台のほのかな恋愛映画。



朝虎は興味無さそうにしていたものの、画面に映し出されるのは見たことないものが多かったせいか、黙って眺めていた。



で、見終わったらいつもより時間は早いものの、眠くなったらしく。


縁側に出て昼寝をするらしかった……のだけれど。



後ろ姿の虎に右手の人差し指だけで呼ばれる。


何……? と思って縁側まで向かうと、今度はその指が下に向けられる。


でもその先を見つめても別段変ったところはない。