虹色サイダー

「じゃあオレ濡らしたタオルとか準備してくっから。お前は思李見てろよ」



どうせオレが見てる、って言っても信用しねぇ気がするしな。


洗面台に行けばタオルぐらいあるだろ、そう思ってドアを出ようとする。


ただ返事がないな、と振り返ると。



男が、ただただ大切そうに、思李の頬を撫でていた。



なんだ、はっきり言わねぇだけで、気持ちはしっかりしてんのな。



ほんとただのガキだけど、胸が痛い。


でもそれぐらい許せよ、二度目の失恋なんだから。





もう、徹底的に、絶望的に、先がないことを知る。




「お前が幸せになるなら、そっちの方がいい」なんてかっこいい台詞、とてもじゃないけど言えたもんじゃねぇ。


言える奴ってのは偉いな。



オレなんか泣きそうだ。