シンプルでいて重々しい螺旋階段を掛け降りる。

塔の最下階へと向かうその間にカムイは作戦の内容を頭の中で何度も何度もシュミレーションした。



そうして何度目かのシュミレーションを終えた頃に、階段はなくなり、最下階へと到着した。

そこにはローザスから命を受けたリリーとアストンが待っていた。

数台のコンピュータ以外は何もなく、中央に馬鹿でかい穴が空いているだけの妙な部屋だった。

カムイは穴に近づき、中を覗き込んだが、ただ真っ暗な世界が続くだけで底すら全く見えない。

「やぁ、二人とも。まま、待っていたよ。」

アストンは相変わらずの滑舌の悪さが所々で耳に引っ掛かる。

「これは?」

カムイがその馬鹿でかい穴をゆび指して尋ねる。

間近までくるとその深さに足が竦んでしまいそうになった。

「これは『導穴』といってね。この大陸と、か、核下地区を結ぶトンネルのようなモノだよ。」

リリーはとても恐がっているようでカムイの後ろに隠れながら導穴を覗き込んでいる。

「どうやって核下地区に降りるんですか?」

リリーはそう聞く声色から、こんなの降りれるわけない。と思っていることがよく分かった。

アストンは導穴を覗き込む。

「うん。導穴はね、惑星のスフィアが発しているフォースの通り道になっていて、反重力が働いているんだよ。だから……」

アストンは白衣のポケットから万年筆を取り出すと導穴へと投げ入れた。

「え、あっ!!」

すると万年筆はそこから落ちることはなく、宙に浮かんだ。

まるで下から柔らかい風でも吹いていて、それにより浮かんでいるかの洋にゆっくりと左右上下に揺れた。

「ね。こんな感じだから最初は恐いと思うけど、導穴に落ちれば後はゆっくりと核下に着陸するだけだから。」